時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

韓国フェリー沈没事故-職務放棄の無責任

 昨日、韓国では修学旅行生を乗せたフェリーが座礁・転覆し、300人近くを数える方々が未だに行方不明の状況にあります。まことに痛ましい事故であり、犠牲になられた方々に、心からの哀悼の意を表したいと思います。
 
 ところで、大事故ともなった原因は、船長、並びに、船員の無責任な行動にあるとする指摘があります。船長たるもの、乗客の最後の一人の無事を確かめるまでは船内に留まり、避難誘導に全力を尽くすべきものとされておりますが、この船長は、真っ先にフェリーから脱出し、救助後には、早速、濡れた紙幣を乾かしていたというのですから驚きます。韓国国内でも非難が浴びているようですが、世の中には、私を優先しはならない職務があります。人の命や運命を預かる職業は、職務放棄が許されない職業であり、船長もまた、自らの命に代えても乗客の命を守る責任がありました。昨年、アメリカで起きたアシアナ航空機事故でも、乗務員が真っ先に機外に逃げ出したとの指摘もあり、韓国では、利己的な行動が大惨事を招くことが多いようです。
 
 日本国でも、先日、自分の子供の入学式に出席するために、自らが務める学校の入学式を欠席した女性教師について賛否両論の意見が交わされていましたが、肯定論を突き詰めますと、”自らの命が最も大事ならば、船長の行為も許される”とする究極の利己主義に行き着きます。そして、こうした職務よりも自分を優先する利己的な行動が、多数の罪なき人々を犠牲にすることを考えますと、職業に付随する責任、そして、自己を犠牲にしても他者のために尽くすことの尊さも、この船長や教師は、全く理解していない思うのです。
 
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