時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

沖縄県には独立の権限はないのでは?

 今年11月に予定されている沖縄県知事選において、1年以内に琉球独立を実現すると訴える候補者が現れ、日本国内に衝撃が走っています。しかしながら、そもそも沖縄県には、独立を主張する権限はないのではないでしょうか。
 
 現行の日本国憲法には、日本国の領土の範囲を明記した条文や領土の一体不可分性を確認する条文はありませんが、その一方で、地方自治体に独立の権利を認める条文もありません。地方自治法でも、独立に関する権限や手続きついては一切触れていません。沖縄の方言は日本語に属しますし、県民の多くも日本人のDNAを共有していますので、1879年の琉球処分は、近代における国家統合の文脈で理解できます。少なくとも現行の憲法体制では、地方自治体の独立は想定されていないのですから、たとえ県知事選の公約に掲げたとしても、それは空約束に過ぎないのです。もっとも、この候補者は、中国系の住民が増加すれば、クリミアの前例に倣って住民投票で独立への道を開くことができると考えているのかもしれませんが、1954年にソ連邦からウクライナ編入されたクリミアと沖縄とでは歴史的な背景は全く違います。また、定住民ではなく移民に独立の権限を認めれば、大阪をはじめ在日韓国・朝鮮人の集住する自治体でも独立騒動が頻発することでしょう。百歩譲って沖縄に将来的な独立の可能性を認めるとしても(例えば、県民の大半が自由意思において日本国からの独立を熱望しているような場合・・・)、徹底した議論と憲法改正が必須なのではないでしょうか。
 
 この候補者がたとえ沖縄県知事に当選したとしても、公約には何らの法的効力も生じないのですが、知事選におけるこの候補者の得票率は、どの程度中国の工作活動が沖縄に浸透しているかを示すメルクマールとなるかもしれません。
 
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