‘謀略史観’から集団的自衛権の問題を眺めてみればパート5:「味方の味方は敵」
今日は、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。7月1日付本ブログにて、A国が、B国とC国と同盟を結び、A国にとりましての集団的自衛権の‘集団’が、‘A国とB国とC国’となったといたしましても、B国にとりまして、C国が‘仮想敵国’である場合があると述べました。
こうした構図を踏まえて現状を眺めてみますと、A国は米国、B国は日本、C国は韓国に見えてまいります。我が国と韓国の両国とも、米国との間に軍事同盟が締結されているのですが、我が国と韓国は、互いに、‘仮想敵国’であり、まさに、A国にとりましての集団的自衛権の‘集団’が、‘A国とB国とC国’であることによってもたらされる混乱を示す例が、‘竹島問題’であると言うことができるからです。
第二次世界大戦の終結前からはじまっていた自由・市場主義圏と社会・共産主義圏という東西対立構造におきまして、米国は、日本と韓国と同盟を結び、‘集団’を形成することによって、極東におきまして、社会・共産主義圏と対峙いたしました。ところが、韓国は、日本に対して悪感情を持っており、この‘A国とB国とC国’の集団的安全保障体制を悪用して、竹島を武力占拠したのです。すなわち、東西対峙の朝鮮戦争のさなかにあって、米国は、集団的安全保障体制が崩れることを恐れ、韓国による竹島占拠を見逃してしまったのです。
すなわち、集団的安全保障体制を構築したことによって、むしろ、我が国は、竹島を武力占拠されるという憂き目にあってしまったのです。むろん、社会・共産主義圏によって日本列島が占領されるよりは、‘まし’ではありましたが、今日に至りましても、竹島問題は、我が国国民が韓国に対しまして、‘仮想敵国’と見なす原因となっております。
さらに、‘A国とB国とC国’という集団における「味方の味方は敵」問題は、A国、B国、C国のいずれか、もしくは、すべてと敵対しているD国という国があった場合、これほど利用しやすい弱点はありません。B国とC国との間の敵愾心を煽る工作活動をしかけることによって、‘A国とB国とC国’による集団的安全保障体制を崩すことができるからです。現に、米国内に銅像を建てるほどエスカレートしている昨今の所謂‘慰安婦問題’などによって、日韓関係は、とみに悪化しております。
謀略史観から眺めてみますと、そこには、D国の介在があるのかもしれないのですから、国際情勢に関しましては、あらゆる可能性を排除せず、精緻に分析する必要があるようです。
(続く)
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