時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日本人迫害事件に発展する北朝鮮の日本人調査

 本日の産経新聞社の一面に記事によりますと、北朝鮮は、日本人調査の実施に伴い、体制批判者を特別収容所に隔離しているそうです。この隔離政策、日本人迫害事件という新たな日朝間の火種となるのではないでしょうか。
 
 日本国政府は、交渉に際して日本人の「全員帰国」を求めたそうですが、報道された北朝鮮による”選別”が事実であれば、日本側の制裁解除条件に反する行為となります。しかも、日本政府が想定している「全員帰国」とは、拉致被害者を含む特定失踪者のはずです。にも拘らず、北朝鮮は、体制批判をしない”問題なし”とされた日本人配偶者や自主的渡航者については、日本国への送還には極めて熱心です。北朝鮮の体制に対して迎合的な礼賛者ならば、敢えて日本国に帰国する理由はないでしょうし、また、北朝鮮の独裁思想に染まった6000名ともされる大量の”日本人”が、一度に帰国するとなりますと、日本国内の混乱要因ともなりかねません(”日本人”である保証もなく、工作員である可能性も…)。記事て指摘されているように、日本人渡航者も一般公民として暮らしているならば、既に北朝鮮国籍を取得している可能性もあります。そしてその陰には、”問題あり”と認定された日本人が強制収容所送りとなっているとすれば、日朝関係が、改善されるはずもありません。
 
 そもそも、北朝鮮の在朝日本人に対する行為は、帰国の自由を侵害する国際法違反なのですが、外国人である日本人を強制収容所に監禁するとなりますと、拉致事件に加えて、日本人迫害もまた深刻な国際問題化します。日本人調査は、むしろ、北朝鮮という国の恐るべき体質を暴露することになったのではないかと思うのです。
 
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