時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

国連委の”奴隷”定義は適切か?

 慰安婦問題に関する国連の自由権規約委員会による日本国への勧告は、日本国政府に法的責任を認め、賠償を実施するよう求めるものでした。報道によりますと、同委において審査終了後に、一人の日本人女性が、南ア出身の女性委員に対し、慰安婦達がお金をもらっていたことを問い質したそうです。
 
 女性委員は、「お金を受け取っていたかいないかは重要ではない。奴隷的な扱いを受けていたかどうかが問題で、『奴隷』に該当する」 と、にべもなく返答したそうですが、この奴隷の定義、適切なのでしょうか。例えば、19世紀や20世紀初頭の炭鉱労働者の境遇は、給与が高くとも、まさしく”奴隷”に近いものでした。今日でも、高額の報酬と引き換えに、危険、あるいは、重労働に従事する人々が存在していないわけではありません。少なくとも、給与が支払われたことは、”奴隷的な扱い”ではないのですから、国連委には、”奴隷”の定義に関する詳細な基準を示す必要があります。もっとも、返答は不十分なものでしたが、慰安婦達が高額の所得を得ていたことを認めただけでも、一歩、前進かもしれません。
 
 それにしましても、中には事業者に騙された被害者もいるものの、アメリカの公文書をはじめ、慰安婦達がプロの職業人であったこを示す証拠は数多く残されております。最後に、この女性委員は、「その質問は重要ではないので答えない」 と言い放ち、一方的に質疑を打ち切ったそうですが、事実を無視して結論を急ぐ態度こそ、”反日団体等からお金を受け取ったのでは?”と疑われかねない不誠実、かつ、怪しげな対応ではないかと思うのです。
 
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