時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

絶望的な朴大統領の時代遅れの政治哲学

 昨日、ソウルで設けられた舛添東京都知事との会談後の記者会見で、朴大統領は、自らの政治哲学を語ったそうです。ところが、この政治哲学、北朝鮮主体思想と瓜二つなのです。
 
 報道によりますと、朴大統領は、「…領土は国民の体であり、歴史は国民の魂だといわれる。魂が傷つけば根本が揺らぐ」と述べたそうです。一方、北朝鮮主体思想とは、”首領が頭であれば、国民は手足である”というものであり、両者とも、所謂、国家有機体説に属しています。国家有機体説とは、近代初頭のヨーロッパにおいて一時的に流行った学説であり、現在では、すっかり下火となっています。しかも、”歴史は国民の魂”と定義してしまいますと、歴史を客観的に分析することも、歴史から謙虚に教訓を学ぶことはもはやできず、”根本が揺らぐ”ことを怖れて”魂が傷つく”ことを回避しようとすれば、歴史の捏造や他者への罪の転化も是認されることにもなりかねません。朝鮮半島の南北両国には、政治思想においても”自己中心的全体主義”という共通の特徴を見出すことができるのです。
 
 このことは、日韓の関係改善が絶望的であることをも意味しています。何故ならば、韓国側の対日要求とは、たとえ事実であっても、”韓国の魂を傷つることは一切許さない”とする、ヒステリックなまでの我儘なのですから。南北両国の考え方に根本的な変化がない限り、朝鮮半島は、陸の孤島となるのではないかと思うのです。
 
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