時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”慰安婦人身売買説”は何を意味するのか

 報道によりますと、米国政府と慰安婦との面談に関連して、サキ報道官は、記者会見において、”人身売買”という言葉を初めて用いたそうです。人権侵害とする対日批判には変化はないようですが、”慰安婦人身売買説”は、何を意味するのでしょうか。
 
 国連の自由権規約委員会における対日勧告の成立時においても、国連委の女性委員が、”お金をもらったことは関係ない”とする旨の発言をしたことで、間接的に、”慰安婦達”が報酬を得ていたことを認めました。米報道官が表現した”人身売買”という言葉にも、国連での発言と同様に、対価の支払いが含意されていますので、少なくとも、日本軍による強制連行と無報酬による奴隷化は否定されたことになります。そして、”人身売買”を行ったのは誰か、と言いますと、当然に、”売った”のは親や知人であり、”買ったの”は、朝鮮人事業者となります。つまり、慰安婦をめぐる”人身売買”は、被害者のみならず、加害者も朝鮮人なのです。残された批判点は、当時の日本国政府による取り締まりが不十分であった、ということになるのですが、朝鮮半島では、李氏朝鮮時代から人身売買が横行してきた土地柄であることに加えて、日本国内でも、前払いによる慰安婦募集もありましたので(当時は合法であった…)、何を以って”人身売買”と判断するのか、そして、政府には、どこまで法的な責任があるのか…、といった問題が議論される必要があります。また、慰安所を利用した軍隊にも責任があるならば、米軍慰安婦については、韓国政府のみならず、アメリカ政府もまた責任を問われる可能性もあります。
 
 何れにしましても、”人身売買説”の登場は、議論すべき新たな問題を提起すると共に、少なくとも、米国内の慰安婦像に刻まれた文面や誤った表現の削除を要求する根拠とはなります(日本軍による強制連行ではない…)。”人身売買”とは、確かに聞き捨てならない言葉ではありますが、日本国政府にとりましては、誤解を解くべく、より詳細に慰安婦の実像を諸外国に説明するチャンスともなると思うのです。
 
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