時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

気になる朝鮮半島引揚者ポスター-"引揚者"とは誰なのか?

 昨日、ネット上のブログで偶然目にした北朝鮮引揚者のポスター。おそらく敗戦後の朝鮮半島からの引揚者のために作成されたと憶測されるのですが、書かれていたスローガンに我が目を疑ったのです。
 
 このポスターの作成時期や真偽については専門家による鑑定を要するのでしょうが、ポスター上に日本語で印刷されたスローガンは、これまでの日本人の常識を覆すものでした。一般の日本人は、朝鮮半島からの引揚者とは、戦前に朝鮮半島に渡ったものの、敗戦を機に日本国に帰国した人々であると理解しています。ところが、このポスターでは、過去の歴史において起きた”引揚”について二つの事例を挙げており、第一次引揚が新羅時代、第二次引揚を豊臣秀吉朝鮮出兵時としています。つまり、第一次・第二次とも、朝鮮人が日本国に渡来したケースであり、天平文化など、何れも”引揚者”が日本文化の形成に貢献したと讃えています。そして、”第三次引揚”でも堂々と誇りを以って日本に文化をもたすよう奨励しているのです。
 
 ”引揚者”とは、一体、誰なのでしょうか。もしかしますと、戦後の引揚者の中には、日本人ではなく、朝鮮人が相当数混じっていた可能性も否定はできません(『竹林はるか遠く』を読むと、あり得ないことではない…)。そして、”引揚者”の定義が日朝間で違っている可能性は、北朝鮮が計画している”日本人の帰国事業”もまた、その延長にあることを疑わせるのです。
 
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