時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

タイ代理出産事件が示す家族制度の崩壊

 先日、”日本人男性”とされる人物が、タイにおいて代理出産によって多数の子供をもうけていた事件が報じられていました。この事件、代理出産を認めると、事実上、民法が崩壊することを示唆しているのではないかと思うのです。
 
 代理出産については、日本国では法的に認められていないため、しばしば、日本国は、子を持ちたい夫妻の希望を踏み潰しているとして批判されてきました。このため、日本人が代理出産を望む場合には、海外で代理母を探すことにもなるのですが、タイでの事件は、幾つかの点において常識の意表を突くものでした。仮に代理母が解禁ともなれば、第1に、事実上の”重婚”が可能となります。この日本人男性は、会社のオーナー社長の子息ともされ、資産家なそうですが、代理母の費用さえ支払うことができれば、何人でも、かつ、同時に”子の母”としての”配偶者”を持つことができるからです。第2に、このことは、一人の男性が100人でも200人でも子を持つことが可能であることを示しています(この男性、毎年、10から15人の代理出産を予定したという…)。100人といった大人数の家族は、現行の民法の想定外です。第3に、この男性の婚姻暦は分かりませんが、独身であるとしますと、代理出産で子孫を残せるならば、婚姻制度そのものが不要と言うことにもなりかねません。
 
 タイで発生した代理出産事件は、今度の日本国内での議論に少なからぬ影響を与えるのではないかと思うのです。それにしましても、この男性、代理出産で生まれた子供達の幸せを考えているのでしょうか…。
 
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