時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

スコットランドはイングランドに”賠償”を求めなかった

 昨日、スコットランドの独立問題は、住民投票による反対多数によって、一先ずは決着が付きました。仮にスコットランドが賛成多数で独立したとしますと、条約による併合が300年の時を経て解消されることになったのですが、独立を主張するに際してのスコットランドの姿勢と朝鮮半島の二国とでは、雲泥の差があります。
 
 イングランドスコットランドとの合併は、1707年に締結された連合法に基づくものであり、両国の議会の双方が当法案を可決することで実現したものです。一方、韓国併合条約もまた、日韓の双方の国内手続きを経た条約批准により成立しており、法的手法を用いたことにおいて共通しています。日本国による韓国併合に際して、国際社会から一切の批判がなかったのは、あるいは、イギリスに先例があったからかもしれません。ところが、併合の解消に臨んでは、スコットランド朝鮮半島の二国では、著しい違いを見出すことができます。スコットランドは、イングランドに対して併合による”損害”を求めてはいませんが、韓国、並びに、北朝鮮は、日本国に対して強く”賠償”を求めたからです。実際に、韓国に対しては、日韓請求権協定において、”賠償”という名目ではないものの、多額の経済支援金を支払い、北朝鮮に対しても、平壌宣言を読む限り、日本国政府は、経済支援を実施する用意があると推測されます。35年の併合期間にあって、日本国は、一貫して朝鮮半島の財政を支え、インフラや教育等の近代化に努め、賠償の根拠となる実質的な”損害”が殆ど皆無であったにも拘わらず・・・です。
 
 日本国に対する最近の韓国、並びに、北朝鮮の態度は、”悲願”とされる独立を果たしながら、併合期の出来事に関連して何かと因縁を付けては、未だ日本国から資金を引き出そうとしているようにしか見えません。日本国には、国際慣行として朝鮮半島の二国に”賠償”を支払う義務はないのですから、韓国も北朝鮮も、スコットランドの気概に見習って、自力で財政を運営すべきと思うのです。
 
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