時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

尖閣諸島の領土問題化の罠-中国のために働いているのは誰?

 かつて、中国の鄧小平氏は、尖閣諸島問題について、将来の世代に解決を任す、という発言を以って巧妙なる領土問題化の罠を仕掛けました。将来の世代の方が知恵があることを期待して…。
 
 ところが、その後の中国の行動を見ますと、棚上げどころか、一方的な領土編入措置を採るのですが、日本国政府は、現在、この時を上回る危機に直面しているように思えます。何故ならば、報じられるところによりますと、日本国政府は、首脳会談の開催と引き換えに、水面下で、尖閣諸島に関して実質的な領土問題化を認める提案を中国側に対して示そうとしているらしいのです。中国が、尖閣諸島の領有について独自に主張していることを承知した上で、時間をかけた話し合いで解決しようと…。今度は、日本側の提案による”棚上げ論”なわけですが、時間稼ぎの後に強硬手段に出るのが中国の行動パターンです。一端、日本国側が、領土問題であることを認めたら最後、平和的な解決とは逆に、中国に、軍事侵攻の根拠を与える可能性さえあります(侵略ではなくなるので、日米同盟も発動しなくなる…)。また、軍事侵攻を回避できたとしても、話し合いともなれば、中国側は、領有権の折半、あるいは、共同開発といった要求を提示してくることでしょう。
 
 この提案、中国側からのものであれば、それ程、不思議はありません。鄧小平氏の主張の繰り返しなのですから。日本国側から、敢えて外交的な敗北を意味する提案を行うところに、説明のつかない不自然さがあるのです。この提案の背景に、中国側の意向が働いているとしますと、日本国の政治の中枢には、親中工作員やエージェンシーが暗躍している可能性は、極めて高いと思うのです。
 
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