時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

「進化論」から見えてくる人類共通の脅威:チンパンジーに‘悪知恵’を加えたようなモンスターの出現

  先週は、ボノボチンパンジーの行動形態の相違は、人類について考える場合に参考となることについて、指摘させていただきました。このような攻撃性の強い行動形態は、チンパンジーに限らないようです。
 
 BBCのインターネットのニュースによりますと、アメリカ大陸の岩アリの研究におきましても、気候の厳しい北方の土地に生息する岩アリのほうが、リスクを省みずに行動し、より強い攻撃性を備えているとのことですので、生物の進化におきまして、食物が豊かな地域に生息しているのか否かといった条件が、進化後の生物のパーソナリティーや行動形態の形成に大きな影響を与えていると言えるのかもしれません。すなわち、食物を得ることが難しい地方に生息している生物が進化する場合に、凶暴性や向う見ずな性格を進化後の遺伝子に残しやすいということになるのでしょう(もっとも、遺伝子そのものではなく、エピジェネティクスによるものかもしれない…)。
 
この説を、様々な人種や種族からなる人類の枝分かれに適用してみますと、豊かな地域に住んでいる人々は、ボノボ社会のような温厚な社会を築き、貧しい地域に住んでいる人々は、チンパンジー社会と同様に‘ボスざる’を中心に、暴力によって何事も解決しようとする独裁社会を築く傾向にあるという推論が成り立ちます。この説は、同じ場所に住んでいても、貧困層に犯罪者が多くなることをも説明しているかもしれません。
 
では、仮に、進化の過程における環境条件によって、もとより凶暴性を有するようになってしまっている人々が存在しているとしますと、人類は、どのように対処すべきなのでしょうか。古今東西、刑法がありますように、このような人々に対しましては、人類は、一応、刑法という方法で対処してまいりましたが、環境を変化させることで性格を変えることは出来るのでしょうか。それとも、遺伝子に刻まれた性格は、他の形質と同じように子々孫々に伝わってゆくのでしょうか。
 
よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
 
(続く)