時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

河野談話の問題1-”数多くあり”の印象操作

 慰安婦問題については、河野談話の作成過程の再検証や朝日新聞社の記事内容の否定により、ようやく事の真相が明らかにされつつあります。河野談話に対しても、修正や撤回を求める声が高まっておりますが、まずは、河野談話の文章の何処に事実とは異なる誤りがあのか、確認する必要がありそうです。
 
 第一に問題とすべきは、「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、…」の部分にあります。慰安所の存在自体は、冒頭の「…長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」の部分と共に、大凡、資料に基づく事実を述べています。しかしながら、事業者に騙されて慰安婦となった女性は、全体の数からしますと少数ですので、数多くありとする表現では、読者の頭の中では、多数者と少数者とが入れ替えられてしまいます。つまり、この談話を読む人々は、”慰安婦の大多数が自らの意思に反して強制された女性達”とする誤ったイメージを抱いてしまうのです。この表現は、明白なる印象操作です。
 
 河野談話の文章には、上記の他にも、巧妙なる”仕掛け”が隠されているようです。明日から、さらに詳しくこの文章の解読してゆくことにしたいと思います。
 
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