時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

河野談話の問題3-慰安婦=奴隷のイメージ

 河野談話に関する三番目の問題は、慰安婦の待遇について奴隷のイメージが刷り込まれるように意図していることです。
 
 河野談話では、一通り概要を説明した後で、「また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。」と付け足しています。この文章こそ、国際社会に対して慰安婦=奴隷の印象を決定づけたと言っても過言ではありません。慰安婦が置かれた強制的な状況とは、奴隷の待遇以外に考えられないからです。ところが、実際には、アメリカ軍が作成した調書の記録が示すように、全ての慰安婦達が奴隷状態に置かれたわけではなく、ピクニックやショッピングなどの余暇を楽しむ自由がありました。賃金についても、家族への前払いを含めて高額の賃金が支払われていたことが、慰安婦訴訟などを通しても明らかになっております。最近では、中国が慰安婦ユネスコの記憶遺産に登録する手続きを進めておりますが、その際、中国が元慰安所として公表した建物は、天井と鴨居の間に欄間を設えた豪勢な造りの日本家屋であり、奴隷小屋のイメージとはかけ離れております。慰安所の実態は、地域によって相当の開きがあり、中には粗末な造りの慰安所もあったのでしょうが、部分を全体にすり替える手法は、この部分でも使用されております。そして何よりも、強制的な状況という表現が、読む者を慰安婦=奴隷の認識へと導いているのです。
 
 河野談話の文章全体の中で、強制という言葉は、実のところ、この待遇に関する説明の箇所でのみ使われています。そして、慰安婦の待遇に関して強制という言葉が使われたからこそ、後に、日本軍が”性奴隷”制度を組織的に運営したとして、国際的な批判を浴びる原因となったのではないかと憶測するのです。
 
 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。