時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

河野談話の問題4-朝鮮人女性の被害誇張

 河野談話における次なる問題点は、朝鮮人女性の被害を意図的に誇張していることです。
 
 河野談話の中断の部分(第3段落)は、朝鮮半島に関する記述に割さかれており、「なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は、我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた」と記しています。この文章には、(1)朝鮮半島だけを特別に取り上げて、概要を記した前段と同様の内容を敢えて繰り返している、(2)当時、日本人慰安婦が半数を占める一方で、朝鮮人慰安婦は2割程度に過ぎなかったにも拘わらず、具体的な割合を示さないことで、朝鮮人女性の被害が甚大であったとするイメージを作出している(日本人以外の慰安婦の出身地の割合は、朝鮮人慰安婦4割、その他6割であったはず…)、(3)当時の朝鮮半島が日本国の統治下にあったと明記することは、日本国の国家責任を仄めかすことになる、といった問題があります。
 
 仮に、慰安婦問題が普遍的な人権侵害問題とする韓国側の今日の主張に従うならば、韓国だけを特別扱いしたこの部分こそ削除されるべきです。そして、朝鮮半島への言及こそ、日韓共同作文、あるいは、韓国側の要請に応えた日本国による作文としての河野談話の特徴が最も強く表れているのです。
 
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