時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

河野談話の問題5-”歴史の真実”?

 河野談話の問題点の第5番目は、”歴史の真実”という言葉が使われていることです。
 
 先の記事でも指摘したように、河野談話には、読者を拡大解釈や事実誤認に導く仕掛けが施されています。明確、かつ、具体的な数字や根拠を示すことなく、文章による印象操作のみで、”慰安婦”問題における日本国の責任と韓国側の被害を浮き上がらせようとしているのです。そして、計算された印象操作の流れは、第5段落における”歴史の真実”という言葉へと繋がってゆきます。前半では行動主体がはっきりしない曖昧な表現に終始しながら、「われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。」と力強く宣言し、一方的に”事実認定”しているのです。さらにその後に「われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する」と述べることで、教育課程に慰安婦問題を持ち込む導火線を引いています。
 
 河野談話の発表後、日本国では歴史教科書に慰安婦記述が掲載されるようになり、また、韓国側からも、”歴史認識”の共有を要求されるようにもなりました。河野談話が、その公表後も教育等を通して長期にわたる影響を残したとなりますと、その罪はやはり重いと言わざるを得ないのです。
 
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