時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”条件付き首脳会談”を放棄した中韓

 先日、APECの開催に合わせて、曲がりなりにも日中首脳会談が実現しましたが、会談実現によって、従来の中国側の”条件付き首脳会談”という国際社会の非常識を改めさせたことだけは、評価できるのではないかと思うのです。
 
 条件付き首脳会談”とは、いわば、外交を装った外交の否定に他なりません。交渉も何もしない前に、最初から、最後通牒を相手国政府に突き付けるような方法であり、”条件を飲まなければ戦争に訴える”という文言の代わりに、”首脳会談には応じない”と宣言しているようなものです。この手法では、双方による話し合いの余地は一切なく、中国側による一方的な選択強要です。しかしながら、この前近代的な方式は、遂に放棄されたようです。そして韓国もまた、日中韓首脳会談の開催の提案に関連し、韓国側から条件を付けることはない、と明言しています。
 
 中韓が、日本国に対して要求するのみならず、自らも日本国から要求される立場にあることを理解したとしますと、わずかとはいえ、首脳会談の開催をめぐる妥協を通して、近代的な意識が芽生えたのかもしれません(それとも、面子のため?)。今後は、両国が再び時代に逆行し、前近代へと後退しないことを願うのみです。
 
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