時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

村山談話の問題点-植えつけられた対日憎悪

 村山談話のもう一つの問題点は、日本国に対する憎しみが中国や韓国の国民に植えつけられたことです。
 
 村山元首相は、中国や韓国の”歴史認識”を受け入れ、真摯に謝罪する姿勢を見せれば、両国民も納得してアジアに平和がもたらされると信じたのかもしれません。しかしながら、こうした考え方は楽観的に過ぎ、逆効果であったことは、その後の歴史が示しております。昨日の記事で指摘したように、村山談話は、日本国=加害国、アジア諸国=被害国とする構図が固定化する方向に作用しました。被害者が加害者を憎むことは当然の心理ですので、この構図の成立は、両国民が日本国に対して憎しみを抱く正当な根拠を与えたに等しいのです。通常、被害者の憎しみは、謝罪や補償を以ってしか消えず、以後、両国は、この両者を求めて国を挙げて対日批判と糾弾をエスカレートさせることになりました。さらに、両国とも、歴史教育を通して日本国の”侵略と過酷な植民地支配”を事実化し、国民感情としての対日憎悪が植えつけられて行くのです。
 
 村山談話の軽率さが、中韓両国において史実とは無関係の対日憎悪を煽り、その憎しみが日本国に向ったとしますと、これ程、馬鹿馬鹿しいこともないのではないでしょうか。
 
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