時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

村山談話の問題点-日本国を犯罪国家と認定

 戦後70周年の談話に関連し、村山談話への関心も高まっておりますが、本日は、この談話のもう一つの問題点として、犯罪国家の認定について指摘しておきたいと思います。
 
 第二次世界大戦を、”侵略と虐待”と捉えますと、いわば、戦争は、日本国による”刑事上の犯罪”とする認識が定着します。しかしながら、国際法が今日より未整備であった当時にあっては(厳密に今日の国際法を適用すれば、アメリカをも含むほとんどの国が犯罪国家となってしまう…)、法律問題ではなく政治問題となる領域も広く、各国の国益や主張の相違が戦争を引き起こすことも珍しくはありませんでした。一方、第二次世界大戦後にあっては、連合国によって国際軍事裁判が設けられたため、敗戦国の責任者は被告席に座らされ、裁かれることになります。国際軍事裁判は、戦争を司法機関で裁く、人類最初の画期的な試みではありましたが、国際法が未整備な段階であり、かつ、戦勝国が設置した裁判所ですので、司法機能に不備があったことは、既に内外から指摘されております。
 
 裁判の不備が確認されており、それが国際社会において広く共有されている以上(米中韓等を除いて・・・)、講和条約において判決を受け入れたとしても、敢えて金科玉条の如く”絶対視”する必要はなく、今日的な視点から東京裁判も、発展途上にあった人類の歴史の一場面として理解すべきではないかと思うのです。
 
 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。