時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

70年談話は当時の時代説明から始めては?

 本日もまた、中国が、村山談話の踏襲を求めているとするニュースが報じられております。村山談話の基調部分は、第二次世界大戦を日本国による”植民地支配と侵略”と断言した上で、謝罪と反省を述べるという構成です。

 しかしながら、この構成ですと、今日でさえ判定が難しく、かつ、国際法上いわくつきの”侵略”という言葉を、過去の歴史に当て嵌めて遡及適用することになります。もっとも、近代裁判制度としては不備のあった東京裁判では、”平和に対する罪”として戦犯の判決を受けましたが、アメリカに対する宣戦布告なき先制攻撃や、英領、蘭領、仏領といった植民地への侵略が罪として問われました。形式的な法律主義ではそうではあるのですが、日本国からしますと、”植民地解放を掲げた植民地への侵略”ということになります。そこで、戦前が、如何に混乱に満ちた時代であったかを説明することから始めますと、この難点が緩和されます。戦後に至り、国際社会においては、とりわけ民族自決の原則と主権平等の原則が確立し、世界大に法の支配が広がることで、ようやく諸国家が対等な国際秩序が形成されます(今日、中国が、この国際秩序を破壊しようとしていますが…)。人類の平和共存のための基礎的な価値が未定着な戦前の時代にあっては、武力によって国際紛争の解決を訴えざる事態もしばしば生じ、そのために多くの人々の尊い命が犠牲となったことは、日本国を含む全世界が反省すべき歴史です。

 第二次世界大戦を今日の国際秩序形成の一過程における重大な通過点とする視点を打ち出すことは、多大な犠牲の上に成立した国際秩序を価値もろともに否定しようとしている中韓北といった無法国家やテロ組織に対する牽制となると共に、連合国諸国による戦後構想等に理解と賛意を示し(国連…)、かつ、植民地の独立を言祝ぐことにもなります。旧枢軸国にに対しては、過去を乗り越え、良き国際秩序の実現に向けて共に戦後の道を歩んだことを健闘しあうことで、良好な関係は維持されることでしょう。このような書き方ですと、先日に本ブログで挙げた要件を充たすことができるのではないかと思うのです。

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