時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

後藤氏殺害-政府批判は的外れ

 イスラム国(ISIL)」によって人質とされていた後藤氏が殺害されたことは、まことに痛ましい結末となりました。テロリストによる人質事件の犠牲となられた湯川氏と後藤氏の両名に対し、心より哀悼の意を表したいと思います。

 ところで、人質殺害の結末に対して、ネット上には、日本国政府を批判する意見が散見されます。安倍首相によって最悪の事態に至ったと…。しかしながら、湯川氏と後藤氏の犠牲を悼みながらも、今回の日本国政府の対応は、ダッカハイジャック事件以来のこれまでとは一線を画するものでした。それは、テロリストの要求を拒絶したからです。最悪の事態とは、日本国政府が再度テロに屈し、身代金、あるいは、死刑囚の釈放が実現し、「イスラム国(ISIL)」が、勝利宣言のうちに勢いづくことです。

 人質事件によって尊い人命が失われたことは残念なことです。生きて救出されるのが最も望ましい結末であることは、言うまでもないことです。しかしながら、テロへの屈服は、さらなる犠牲と悲劇を生むことになりますので、「イスラム国(ISIL)」の野望達成という最悪の事態だけは避けられた、とも言えるのではないかと思うのです。

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