時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

支離滅裂な福田元首相の国立追悼施設必要論

 昨日、毎日新聞のインタヴューにおいて、福田康夫元首相は、国立追悼施設が必要ではないか、とする見解を示したそうです。

 福田元首相の発言とは、「靖国神社を否定することはないが、(戦没者の)追悼が中心の施設。平和な将来を祈るのならば、別の場所がいい」というものです。この発言を文字通りに解釈すれば、”靖国神社は追悼のための施設であるから、将来の平和を祈念するには適しておらず、故に、新たに国立追悼施設を設けるべき”ということになります。つまり、追悼と平和祈念を分離し、それぞれ別の施設で行うべき、という主張になりますが、新たに設置されるのが、将来に向けた平和記念のための施設であるならば、”国立追悼施設”という名称は相応しくありませんし、仮に、政府は、靖国神社には詣でず、”平和祈念施設”にだけ参拝すればよい、という意味であるならば、戦没者の慰霊という重要な行為を放棄することになります。

  国民に対して国立追悼施設の新設を説くにしては、支離滅裂で説得力の薄い説明なのですが、福田元首相の本音は、靖国神社への参拝に反対している中国への配慮なのでしょう。もっともらしい理由付けは、国民に見透かされていると思うのです。

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