時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

駐韓米国大使襲撃事件-米韓関係はどうなるのか?

 韓国国内では、襲撃されたリッパート大使が、子供のミドルネームに韓国名をつけるほど親韓であったこともあり、事件を契機に、米韓関係がさらに強まるとする声が優勢なそうです。

 この展開、1910年の韓国併合に際しての、伊藤博文暗殺事件後の韓国国内の反応を髣髴させます。韓国国内では、併合に反対する声はほとんど聞かれなくなり、日本国にすり寄る声の方が高まったとされています。その一方で、1世紀前と今日とでは、状況が異なる部分も少なくありません。今回の事件では、韓国政府のスタンスは、米韓共に北朝鮮から攻撃を受けた被害者の立場であり、被害意識の共有から米韓関係の強化を主張しています。しかしながら、アメリカが、米韓関係強化の方向に向かうかどうかは不明です。仮に、アメリカが、この事件の背景として、韓国国内における北朝鮮派の浸透と中国動きに関する何らかの情報をキャッチしているとしますと、韓国が、同盟国として信頼に足るのか、疑問視する可能性があるからです。韓国の信頼性に関する懸念は、日本国政府も抱いているはずです。

 果たして、事件後、米韓関係は強化されるのでしょうか。今回の事件は、100年前以上に複雑な様相を呈しているのではないかと思うのです。

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