時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

慰安婦が”奴隷”ならば連合国の不起訴が問われるはず

 東京裁判に対する批判点の一つは、刑法における原則を曲げ、事後法の遡及効を認めたことです。東京裁判戦争犯罪とされた”平和に対する罪”と”人道に対する罪”は、1946年1月19日に成立した極東国際裁判所憲章において、初めて定義等が詳述されるからです。

 ところで、当憲章の第5条では、”人道に対する罪”として、”殺戮、殲滅、奴隷的虐使、追放その他の非人道的行為、若しくは、政治的叉は人種的理由に基づく迫害行為…”を挙げています。仮に、韓国が主張するように、慰安婦達が奴隷状態に置かれていたり、朝鮮女性である故に迫害されたり、さらには、戦争末期に大量虐殺されたのであるならば、この時に、連合国諸国は、”人道に対する罪”として日本国の政治家、あるいは、日本軍の将兵を起訴したはずです。連合国諸国は、日本軍の戦犯については、厳しく調査・追求したのですから。ですから、韓国側は、慰安婦奴隷説を主張するならば、連合国諸国に対してその不起訴処分の不当性を問うべきなのです。東京裁判には問題はありますが、少なくとも、朝鮮人慰安婦の奴隷化、迫害、殺戮に関して戦犯に問われなかったことは、韓国の主張に対する反証ともなります。

 韓国は、”人道問題は別”と主張してもいますが、東京裁判において既に”人道に対する罪”は罪状の一つに定められています。韓国は、一体、連合国の不起訴処分を、どのように説明するのでしょうか。

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