時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

中国主導のAIIBの参加を見送った日米

 3月31日の申請締切日が過ぎ、中国主導で進められてきたAIIBには、51カ国が参加を表明いたしました。日米は参加を見送りましたが、中国側は、”期日が過ぎても、日米の参加を待つ”と述べております。

 ”日米の参加を待つ”とする中国の言葉、これは、何を意味しているのでしょうか。一つには、51カ国を従えた中心国の余裕から、”参加したければ、願い出よ”、とする大国意識からの発言からかもしれません。その一方で、案外、今後の機構運営に不安を感じている可能性もあります。AIIBへの参加を見送ったことで国際的に”孤立した”とする批判や、”外交的な失敗であった”とする日本国に対する手厳しいマイナス評価もあります。しかしながら、中国の様子からしますと、AIIBについては、当初の思惑が外れたような気配も感じられます。51カ国も参加するとなりますと、今後とも主導権を維持できるか怪しくなるからです。

 日本国は、中国主導の機関に不参加を決めたことは、アジアの覇者として中国が君臨する体制の構築に待ったをかけたことでもあります。仮に、安易に参加を表明していれば、国際社会は、日本国もまた、遂に中国に飲み込まれたと見なしたかもしれません。長期的に見ますと、参加の選択の方が、遥かに外交的なマイナス点になったのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。