時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ケリー国務長官の”日本軍人身売買説”の波紋

 昨日の記事では、「慰安婦問題の核心」と題して、誰が人身売買の犯人か、とする問題を設定してみました。この件については、先日、アメリカのケリー国務長官の発言に関する報道がありましたので、本日は、波紋を広げている長官発言について書いてみようと思います。

 昨日までは、ケリー国務長官の発言の真偽は不明であったのですが、国務省のサイトに原文が掲載されているとの情報をいただき、早速、確認してみました。驚くことに、記者会見での質問への回答であれ、国務長官は、確かに”人身売買は日本軍による”と発言しているのです。あまりのショックにしばし呆然としてしまったのですが、一体これは、どうしたことなのでしょうか。実のところ、日本軍人身売買説が虚偽であることを証明することは、極めて簡単です。仮に、日本軍が人身売買の犯人であるならば、軍の経費から支出されているはずです。20万人もの女性を”購入”したとなりますと、膨大な予算が計上されたはずなのですが、こうした経費を記録する資料はありません。韓国人元慰安婦の証言もまた、この説を否定します。元慰安婦の証言でさえ、日本兵憲兵が登場するのはわずかな事例に過ぎないからです。むしろ、元慰安婦証言は、人身売買の主たる実行者が、募集を行った民間事業者であることを証明しているのです。動かしがたい証拠があるのですから、日本軍人身売買説は即座に論駁できるのです。

 問題は、アメリカも韓国も、虚偽であることを百も承知の上で、政治的な妥協として史実を曲げてしまっていることです。もちろん、日本国政府も日本国民も、この見解を受け入れることはできないのですが、米韓が結託して日本国に対して濡れ衣を着せる場合、アメリカが同盟国であるだけに、日本国は、極めて苦しい立場に立たされます。少なくとも、70年談話においては、誤った”歴史認識”の定着を避け、実証的な史実こそ尊重されるべきことを明示するためにも、慰安婦問題については、一切、触れない方が賢明ではないかと思うのです。

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