時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ポツダム宣言の藪蛇

 共産党の志位委員長が、国会において安倍総理ポツダム宣言について質問したことが、ここ数日、話題となっております。この件に関しては、首相はポツダム宣言を読んでいない、と批判する意見も見受けるのですが、ポツダム宣言への言及は、共産党にとりましては、藪蛇となるかもしれません。

 安保法制の整備に反対している共産党としては、戦時中、つまり、ポツダム宣言が作成された1945年7月26日の連合国の立場から日本国を軍国主義として断罪し、憲法改正にも待ったをかけようとしたのでしょう。しかしながら、志位委員長自身が、この宣言を熟読しているかどうか、極めて怪しいと思うのです。その根拠は、ポツダム宣言のどこを探しても、日本国の戦後の防衛権のあり方についても、憲法についても、一言も触れられていないからです。憲法改正に関連する項目があるとすれば、ポツダム宣言第10条の「…言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は、確立せらるべし。」であり、この要求については、既に日本国憲法の制定において実現しております。安倍首相をはじめ、日本国は、ポツダム宣言を否定しておらず、その他の要求も実行されているのです。にも拘らず、あたかも、自らが日本国に対して降伏を勧告するかのように、この宣言を持ち出す共産党の態度には、疑問を抱かざるを得ません。

 しかも、ポツダム宣言の文章には、反軍国主義が姿勢が打ち出されており、”無責任ある軍国主義”や”世界征服の挙”といった言葉が散りばめられています。現在、こうした行動をとっているのは、共産党一党独裁の下で、無責任なる拡張主義を選択した中国です。今日の国際社会から、”21世紀のポツダム宣言”を突きつけられるとしますと、それは、日本国ではなく、中国なのではないでしょうか。

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