時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ヘイトスピーチを法規制してはいけない最大理由

 ヘイトスピーチにつきましては、現在なおも、法規制を求める声が聞こえております。先日の記事では、言論の自由報道の自由との関係から、ヘイトスピーチの法規制に反対する意見を掲載いたしましたが、本日は、より簡潔に、ヘイトスピーチを規制してはならない理由を述べたいと思います。

 ヘイトスピーチを規制してはならない最大、かつ、簡潔な理由とは、人間のヘイトの感情、即ち、憎しみは、行動や言論の正邪や善悪とは関係なく起きるという厳粛な事実があるからです。否、憎しみの最大の原因は、相手から受けた不正な加害行為ですらあります。不当な被害や悪しき行動に対する抗議から発する言論を封じますと、相手方が自らの行動を反省したり、是正する機会は失われ、悪がそのまま温存されます。

 ”逆恨み”のケースもあることも、保護されるべきは誰かの判断を困難とします。相手のためを思っての行動や発言であっても、相手の受け止めかたによっては、恨まれる原因となるからです。加えて、如何なる正論であっても、全ての人が素直に理解して受け入れるとは限らず、逆に、反抗心を掻き立てることも少なくありません(理由なき反抗…)。正当な理由や根拠に基づく非難や批判であればあるほど、反論に窮した相手に”逆切れ”されることも珍しくないのです。

 そしてさらに問題なのは、ヘイトスピーチとして他者を糾弾する側は、理由を問わず、自らの主観的な感情だけで相手が自分をヘイトしていると断定することです。実際には、自らが相手をヘイトしているかもしれないにも拘わらず…。

 人間の心理として、憎しみには様々な原因がありますので、ヘイトの有無だけを基準にして一律に法規制をかけますと、正当な批判や要求をした側が罰せられることにもなりかねません。況してや、特定の民族のみを保護するためにヘイトスピーチ規制法を制定しますと、保護を受ける民族は、あらゆる批判を免れる特権を得たようなものです。これでは社会正義は実現しないのではないでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。