時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日本の母が天安門の母になる危険性

 安保法案につきましては、特に左翼系の政党は、”子供達を戦場に行かすな”とばかりに、女性層をターゲットに声高に反対を訴えております。しかしながら、この反対、その先を見通しているとは思えないのです。

 我が子を失う悲しみは母親であれば耐え難いことですので、左翼系の人々は、母親たちに若者たちが戦場に赴くシーンをイメージさせるだけで、反対の賛同者を増やすことができると考えているのでしょう。戦争=子の戦死のイメージ造りは、安保法案に反対する人々にとりましては、極めて有効な手段なのです。その一方で、集団的自衛権の否定が、中国の拡張主義にとりましては好都合であることは既に多方面から指摘されており、逆に、戦争を誘引する可能性すらあります(抑止力の欠如…)。ですから、よく考えてもみますと、この訴えは説得力に乏しいのですが、もう一つ、指摘すべきことは、仮に、戦わずして中国の軍門に下り、日本国が、共産党一党独裁を敷く中国に併合される、あるいは、属国となったとしますと、日本国の母親たちは、天安門の母になる可能性が極めて高いということです。中国人と比較しますと、日本人の方が、はるかに、民主主義、自由、法の支配、基本権の尊重…の価値を理解しており、また、これらの価値を実際に享受してきました。これらの諸価値が奪われ、中国の独裁体制に組み込まれ、チベット人ウイグル人のような過酷な弾圧を受けるとなれば、当然に激しい反発と抵抗が生じることが予測されます。将来の日本の若者が、命がけで中国に対する抵抗運動に参加するとしますと、その道を歩ませたのは、他ならぬ、中国との戦争を避けた母親たちということになるのではないでしょうか。

 そして、日本の若者たちの自由化と民主化を求める運動は、同時に、日本国独立のための戦いともなりましょう。将来の日本国において、決して、天安門事件を再現させてはならなず、日本国は、何としても独立を守り抜くべきと思うのです。

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