時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

沖縄二紙の反論への疑問-遅れた情報提供

 沖縄県沖縄タイムス琉球新報は、百田氏の発言を言論の自由報道の自由に対する弾圧として批判し、記者会見の席で氏の発言に見られた誤りを指摘しております。確かに、報道機関が事実関係を確認することは、報道機関がすべき職務なのですが、若干の疑問も湧いてきます。

 百田氏の発言で事実誤認を指摘されたのは、戦前における普天間基地の状態と地主の収入に関する2点です。両社の説明では、普天間基地建設以前は、百田氏が言うように”田んぼ”ではなく、日本軍の飛行場が建設された1925年当時は、人口9千余りの宜野湾村の村落があったそうです。その後、米軍に接収されたのですが、現在の普天間基地周辺の人口は、9万5千人程とのことですので、10倍もの数字は自然増とは考えられず、増加分は、基地建設後の移住者なのでしょう。普天間基地周辺は、基地経済とも言うべき”基地城下町”の観があるそうです。一方、戦前の住民は、地主とされる4万人に含まれと推定されます。地主の増加数の方は、反戦活動として土地を購入した一坪地主なのでしょう。二社の説明から浮かび上がる実像は、普天間基地周辺の住民の大半は、戦後の移住者であり、元住民の地主の多くは他所で生活しており、200万円以上の地代を受け取っているというものです。

 普天間基地の移設が周辺住民の騒音問題の解決策であったことを考えますと、沖縄二紙の反論は、むしろ、藪蛇とも言えます。否、反論の必要性に迫られる段になって、ようやく正確な情報を提供するようになったのではないでしょうか。最初から事実に即した報道に努めていれば、沖縄の基地問題は、これほど拗れることにはならなかったのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。