時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

中国調査船問題が明らかにしたリスク

 昨日、日本のEEZ内で、海上保安庁の測量船が調査を行っていたところ、中国の海洋調査船が接近し、調査の中止を求められるという事件が起きました。普天間基地移設問題で揺れるこの時期に、中国側が国際法無視の行動をとったことは、あるいは、時機を得たことであったかもしれません。

 何故ならば、この事件は、沖縄を含め、我が国の安全保障が危機に面していることを如実に示しているからです。中国もまた、国連海洋法条約の加盟国ですので、他国のEEZを尊重する義務を負っています。もし、国際的なルールを守る意思が中国にはないとしますと、全ての境界線は、将来、侵害されるリスクがあるということになるのです。普天間基地移設問題については、昨日、鳩山首相は、抑止力に言及し、県外移設が難しいとの発言をされましたが、沖縄における抑止力の必要性を、中国自らが証明したと言えるかもしれません。

 この意味において、中国側の国際法違反の行為は、政府の県外・国外移設を断念する上での説得材料となったとも考えられるのです。

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