時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

集団的自衛権違憲論への反論まとめ-解釈は法の目的に従って

 本ブログでは、これまで、4回にわたって集団的自衛権違憲論に対する反論を試みてきました。本日は、シリーズのまとめとして、法解釈の原点に返って、昨年の政府による憲法解釈の変更を擁護したいと思います。

 法の解釈には、拡張解釈、縮小解釈、反対解釈、類推解釈…など、様々な方法があります。このため、同一の法文でも、正反対の解釈が導かれることもあり得るのですが、どの解釈を用いるかの選択において最も重視されるべきは、法文の目的です(目的論的解釈)。法文の目的に適った解釈こそ、最も良い解釈となります。それでは、日本国憲法の第9条の法文は、何を目的としているのでしょうか。憲法とは、その国の永続的な存続を前提としており、少なくとも、自国の滅亡を許すはずはありません。また、恒久の平和をも願っていることも、前文を読めば明らかです。こうした憲法全体の目的に照らしますと、憲法第9条集団的自衛権を含めて自衛権や軍隊までも無条件に放棄しているとする違憲論者の極端な解釈は、法の目的から逸脱しており、憲法の基本精神にも反しております。その一方で、中国の軍事的台頭や北朝鮮等の脅威など、国際情勢の変化を考慮すれば、憲法第9条集団的自衛権の行使を容認しているとする解釈は、憲法が示している自国の安全と生存を確保し、国際平和を実現するという目的に合致しているのです。

 法文の目的に適った解釈こそ、解釈学の正道であるならば、合憲論の解釈の方が正しいのではないでしょうか。2014年7月1日の政府解釈の変更は、解釈論としましても、決して間違ってはいないと思うのです。

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