時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

疑わしい華人労務者と韓国人慰安婦の数字

 戦時中に過酷な労働を強いられたとして三菱マテリアルに対して賠償金の支払いを訴えていた中国人元労働者。中国側が和解案を受け入れたとの報道もありますが、この問題と韓国人慰安婦問題、どちらも数字が疑わしいのです。

 華人労務者については、外務省の報告書によれば、日本全国の35の企業(135事業所)で38,935人が働いていたそうです。1943年の東条内閣における「華人労務者内地移入二関スル件」閣議決定では、「衣食住及び賃金、家族送金、持ち帰り金等の給与待遇等についても万全を期するごとく考慮せり」と定められました。また、その前提となった次官会議では、華人労務者の待遇が定められ、「契約期間は2年」「賃金を払う」「送金は自由」「故国への持ち帰り金も特別制限は加えない」とされ、華人労務者を雇用した企業に対しても、一日5円の支払いが求められたそうです。決して、”奴隷状態”ではないのですが、中国の新華社が報じたところによりますと、三菱マテリアルでは、この内、3765人が働き、そのうち、720名が死亡したとのことです。ところが、戦後、70年経た今日、被害を名乗り出た人数、つまり、補償金支払い対象者の数が、3765人と当時の労働者数とぴったりと同じです。仮に、この数字が正しければ、誰一人として亡くなっていないことになるのです(720人の死亡が確認されているにも拘わらず…)。遺族とも考えられますが、あまりに不自然な数字ですし、遺族に請求権が相続できるとすれば(この点も疑わしい…)、どのような基準、あるいは、審査で遺族であることを確認したのでしょうか。
 また、韓国人慰安婦の数字にも、疑わしき点が多々あります。華人労務者の場合、死亡者なしという非現実的な数字なのですが、こちらの方は、広く流布されている”20万人説”が正しいとしますと、2004年の時点で認定された元慰安婦の人数が207人というのでは、あまりにも少なすぎます。しかも、この問題は、多数の元慰安婦が存命であったはずの90年代に既に騒がれていたのですから、認定者の数の少なさは、”20万人説”を否定する根拠ともなります。

 数字は、それが偽りであれ、正直ですので、その意味するところを読み解きますと、これらの問題の真相が見えてくるかもしれません。不自然な数字、あるいは、辻褄の合わない数字は、事実との乖離を表わしているのではないかと思うのです。

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