時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

検証できない世論調査は民主主義の脅威

 マスメディア等の世論調査の結果によりますと、国民の大多数が安保法案や原発再稼働に反対する一方で、戦後70年談話には、”侵略”、”植民地支配”、”謝罪”を含めることに賛成しているそうです。ところが、誰でも投票できるより開かれたネット投票では逆の結果も見られ、世論調査の信頼性には疑問符が付いています。

 左翼勢力などは、こうした世論調査の結果を以って、政府は、民主主義の原則に反していると批判しています。しかしながら、民主国家において世論が重要であるからこそ、逆説的には、世論調査は、民主主義の脅威になり得るのではないかと思うのです。何故ならば、調査する側が操作すれば、結果を誘導することが可能であるからです。操作方法としては、(1)調査対象を特定の人々に限定する、(2)設問や回答から特定の選択肢を省く、(3)回答を誘導する(4)詳細を説明はしない、そして最悪の場合には、(5)結果の数字を改竄する…などがります。こうした操作が行われていたとしても、国民は、世論調査の厳正性を後から検証することは不可能です。日本人は、”皆がしているから”という言葉に弱いとされておりますが、世論調査が、日本の国民性を利用した世論操作であるとしますと、これは、民主主義の危機となります。僅かの回答者、しかも、誰であるかも、正しい結果であるのかさえも分からない調査結果によって、”日本国の世論”が一方的に決定されてしまうのですから。

 昨日の鳩山元首相の土下座謝罪は国民の批判を浴びておりますが、仮に、世論調査の通りに”謝罪”すべきが多数であるならば、日本国内は、歓迎の声で溢れたはずです。そうでないところを見ますと、やはり、世論調査は怪しいのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。