時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

朝鮮人徴用は非人道的であったのか?

 最近、NHKは、毎週日曜夜9時に、BSプレミアムでイギリスで作製された『刑事フォイル』という番組を放送しています。第二次世界大戦を時代背景としているため、事件の解決に至るストーリーのみならず、当時のイギリスの状況も丁寧に描きこまれています。

 昨日のタイトルは『兵役拒否』であり、ドラマは、愛国者の心情あり、平和主義者の主張あり、テロリスト?の活動あり、移民問題あり…と、今日にも通じるような問題を含みながら、良心的兵役忌避者の審査から生じた事件を軸にストーリーは展開します。そして、ドラマの中では、良心的兵役忌避を審査で認められた者についての興味深いセリフを見出すことができます。”良心的兵役拒否を認められた唯一の人物は、今、地方の工場で働いている(有力者の知人であったら審査で忌避を認められ、優遇されている…)”とする内容のセリフです。もちろん、ドラマでのお話ですので、体験者の証言でも何でもないのですが、おそらく、兵役拒否者は工場で働くとする事実があったからこそ、このセリフがドラマに違和感なく溶け込んでいるのでしょう。このストーリーのみならず、『刑事フォイル』には、兵役逃れの問題がしばしば登場します。戦時にあっては、どの国であれ、兵役は国民の義務であり、国民は、国を護るために命を捧げる覚悟で戦地に赴きました。ドラマでは、愛国心に燃える人々をも忠実に描いています。それ故に、兵役拒否は、批判的な視線で見られる行為でしたが、それでも、兵役の回避を試みる人々がいたことも事実なのでしょう。そして、兵役拒否の代償は、工場で働くことであったのです。

 ドイツでは、2011年に徴兵制が廃止されますが、良心的徴兵拒否に対しては代償義務の制度が設けられていました。その多くは福祉関連の労務でしたが、第二次世界大戦時の朝鮮半島における徴用は、韓国が主張するほど、非人道的な行為であったのでしょうか。しばし、考えさせられるドラマであったのです。

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