時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

元プロレスラー文科相は学術の擁護者に相応しい?

 固唾を飲んで見守っていた今年のノーベル賞受賞者の発表式。医学生理学賞に次いで物理学賞と、二日続けて日本人受賞の喜ばしいニュースが伝わり、日本国の科学技術のレベルの高さを内外に示すことにもなりました。

 国土が狭く、資源の乏しい日本国は、勤勉な国民性と科学技術の高さを以て経済大国となった国であり、日本国の繁栄は、国民と共にあります。仮に学術の教育や発展を疎かにしてきたとしますと、今日、これ程多くの日本人がノーベル賞を受賞することもなかったことでしょう。こうした日本国と学術との密接な関係に鑑みまして懸念されるのは、今般の内閣改造による馳浩氏の文科相就任です。教育や学術分野の閣僚である限り、その道の専門家であり、良き理解者であることが望ましいのですが、氏の経歴を見る限り、不安が脳裏をよぎります。馳議員の前職は、プロレスラーなのです。スポーツ担当相といったポストであれば、誰もが納得するのでしょうが、プロレスと学術との接点を見つけ出すことは困難です。先端科学技術分野となりますと、さらにその距離は遠のきます。しかも、一般のスポーツではなく、プロレスは、スポーツであれば”八百長”とされるショーであり、芸能や興行に近い性格があります。スポーツ教育の面からしましても、フェア・プレー精神の向上に尽くすのかどうかも疑問な限りなのです。

 果たして、元プロレスラーの文科相は、学問や科学技術の擁護者となるのでしょうか。そして、質の高い教育を全ての国民に提供する政策を打ち出すのでしょうか。ノーベル賞受賞の報に沸き立つ中での馳文科省の就任は、国民に一抹の不安を与えているように思えるのです。

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