時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

VW不正の教訓―中韓の世界記憶遺産登録は大丈夫?

 これまで、ドイツのフォルクス・ワーゲンと言えば、質実剛健、実直、誠実…といった言葉が最も似合う企業でした。ところが、今般、ディーゼル車に関連した不正ソフトの搭載が発覚したことで、そのイメージが崩れつつあります。

 フォルクス・ワーゲン社が、厳しい国際的な批判に晒された理由の一つは、意図的な規制逃れであり、不正行為であると認識していながら、その行為を発覚するまで続けた点にあります。設計ミスや測定ミスであれば言い訳もできますし、消費者も製品の欠陥問題の一つとして直ぐに忘れるでしょうが、意図的となりますと、もはや言い逃れはできなくなります。その損失たるや、数兆円にも上ると試算されており、ブランド力の低下と共に、癒しがたい傷を残すことになったのです。設立以来およそ80年かけて積み上げてきた信用は、この事件で一敗地に塗れることになったのですが、この事件は、信頼性の喪失が如何にダメージを与えるのかを示しています。この事件の顛末に、中国や韓国は、不安を覚えないのでしょうか。両国とも、ユネスコの記憶遺産に、”南京大虐殺”や”慰安婦問題”を登録しようと積極的に活動しておりますが、自らの主張に虚偽が含まれていることが発覚した場合、国家としての信頼性は、地に墜ちます。

 もとより、中国も韓国も、国際的な信頼性に乏しいので、ダメージの度合いは、フォルクス・ワーゲンよりも低いとの指摘もありますが、それでも、国際社会の場に持ち出した以上、虚偽の主張、しかも、意図的な虚偽の宣伝は、将来にわたって両国のイメージに癒しがたい傷を与えます。両国とも、面子を重んじる国であればこそ、この申請は、取り下げるべきではないでしょうか。

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