時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”日本の美”はテレビの色使いから

 日本国政府は、2020年に予定されている東京オリンピックパラリンピックを念頭に、”日本の美”を海外に発信すべく、有識者会議として「『日本の美』総合プロジェクト懇談会」を設けるそうです。以前にも記事にしたことがあるのですが、”日本の美”の発信は、まずは、テレビの色使いから始めるべきと思うのです。

 最近、テレビ離れが進んでいるとする指摘もありますが、その原因の一つは、画面の色使いが汚く、視聴者を疲れさせることになるのではないかと推察しております。NHKをはじめ、民法でも、画面には、赤、青、黄色…の原色が何らのバランス的な配慮もなく並べられており、プロの仕事とは到底思えません。今日、カラー・コーディネーターという職業もあり、また、デジタル技術で色彩表現も自由自在のはずなのですが、テレビ画面は、一般の国民の色彩感覚以下なのです。訪日外国人も、ホテルや宿舎で日本のテレビ番組を見ることもありましょうし、NHKは、海外放送も実施しています。このままでは、国民のみならず、外国人からしましても、色彩センスの悪い国というイメージが定着する恐れもあります。古来、色調の違いや色の合わせには殊の外敏感であり、その繊細な使い分けこそが”日本らしさ”でありました。表を”二藍”裏を”濃青”の合わせを”桔梗”と呼ぶなど、何と風雅なことでしょうか。日本国は、色彩文化ともいうべき、文化のジャンルを作り上げてきたのです。

 日本国のテレビ局は、色彩のプロであると共に、伝統的な美意識をも生かすべきではないでしょうか。現状では、日本国の色彩文化の破壊者でしかないと思うのです。

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