時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

中国格下構図の訪英晩餐会写真

 イギリスを国賓として訪問している中国の習近平主席は、イギリス側からの手厚いもてなしを受けたと報じられております。晩餐会の写真も公表されておりますが、中国国民は、この写真に何を思うのでしょうか。

 中国側としては、習主席がイギリスから大歓待を受けている様子をつぶさに伝えることで、中国国民の自尊心を満足させようと考えたのかもしれません。世界の大国として遂にイギリスからも認められたと…。しかしながら、晩餐会の写真を見ますと、中国側の狙いどおりには行かないように思えます。何故ならば、中国側が格下となるポーズで撮影されているからです。実際のところは分からないのですが、撮影されたエリザベス女王と習主席が杯を交わすシーンでは、女王の杯が主席の杯より高い位置にあるのです。中国では、杯の位置が上下関係を表わすとされていますので、この写真の構図では、中国が格下となります。しかも、堂々とした態度のエリザベス女王に対して、習主席は、神妙そうな顔つきで頭を下げておりますので、格下の印象はさらに強くなります。

 中国大陸や朝鮮半島では序列意識が殊の外強いとされ、特に日本国に対しては、常に格上となるべく対抗心を燃やしていますが、今回の訪英では、この序列意識は、卑屈な態度として現れてしまったようです。あるいは、カメラマンが敢えてその瞬間を狙ったのかもしれませんが、少なくとも、中国の国威高揚とは程遠い訪英ではなかったかと思うのです。

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