時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

NHK受信料義務化の意図は?

 総務省では、NHKの受信料のあり方等を議論するために、有識者会議を設けるそうです。自民党の小委員会では、既に、受信料の義務化が提言されておりますが、その狙いは、一体、どこにあるのでしょうか。

 契約自由の原則からしますと、公共放送とはいえ、NHKとの契約が義務化されるわけですから、国民にとりましては、必ずしも歓迎できるお話ではありません。しかも、NHKの現状を見ますと、特定の団体の利権の巣窟と化していることに加えて、常々、世論誘導や偏向報道も問題視されてきました。その一方で、受信料の義務化は、いわば、NHKの国営放送化をも意味します。となりますと、当然に、放送事業は、政府の政策的な改革の対象ともなりますし、国家財政との一体化も検討課題となります。年間6000億円ともされるNHK予算は、民放と比較しますと巨額ですし、無駄の多さは、NHKの番組を見れば一目瞭然です。また、一旦、国営化した後に、公共性の高い部門だけを残す一方で(時事ニュース、国会中継、教育、災害…)、民放と競合する娯楽部門を切り離し、民営化するといった方法を採ることができます。整理・縮小が実施されれば受信料は大幅に減額され、国民負担も緩和されることでしょう。

 ネットが普及した時代にあって、テレビの役割も変わりつつあります。有識者会議では、時代に即した放送の在り方を根本的な制度設計を含めて議論していただきたいと思うのです。単なる受信料義務化の後押しでは、国民の多くは納得しないのではないでしょうか。

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