時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

恐怖政治は国民の脳にダメージを与える

 福井大学の研究によりますと、虐待を受けながら育った子供の脳には、(1)視覚的感情処理の部位と(2)やる気や意欲に関わる部位に未発達が見られるそうです。この研究結果は、環境と脳機能との関係を示唆していますが、家族に限らず、国家レベルでも同様の現象が起き得るのではないかと思うのです。

 恐怖政治とは、暴力によって国民を支配する形態であり、国民は、常に当局による暴力に怯えています。政府を批判したり、命令に背くようなことがあれば、容赦なく心身ともに惨い制裁が加えられるからです。とりわけ、為政者が、他罰的であったり、他虐的な性格である場合には、自らの快楽のために国民に暴力を振るうことも少なくありません。ソ連邦をはじめ、社会・共産主義諸国は、半世紀以上にもわたって恐怖政治を経験しました。今日、全体主義体制が崩壊し、多くの諸国が自由と民主主義を手にしましたが、ロシアをはじめ、中東欧諸国の経済が、今一つ伸び悩んでいる理由は、恐怖政治の後遺症が国民を蝕んでいるからかもしれません。

 今日、中国や北朝鮮といった諸国では、未だに恐怖政治が続いており、韓国もまた、暴力主義的傾向の強い国です。虐待は、国民の脳にダメージを与えるのですから、こうした体制は、できるだけ速やかに崩壊すべきですし、全ての諸国は、自国が”虐待国家”とならぬよう、常に警戒を怠ってはならないと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。