時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

テロリストは快楽殺人者

 本日の産経新聞の「産經抄」にオサマ・ビンラーディンの言葉が紹介されておりました。「おまえたちが命を愛している以上にわれわれは死を愛している」という…。

 言葉の上辺だけでは、生も死も、人間の始まりと終わりであって、どちらも同価値であり、前者を愛する人もいれば、後者を愛する人もいることは、至極当然のように聞こえます。ビンラーディンの詭弁に騙されますと、命を愛する人だけ称賛されて、死を愛する者が批判されるのは不公平と考えるかもしれません。ビンラーディンの言い分ももっともであると…。しかしながら、この言葉を深く読み解きますと、テロリストの悪魔的な恐ろしき一面が浮かび上がってきます。何故ならば、命を愛する者は、自分の命も他者の命をも愛しますが、死を愛する者は、自分自身の死を愛すべき対象から外す一方で、他者の死を愛しているからです。仮に、自分の死をも愛しているならば、ビンラーディンは、殺害される前に自ら死を選んだことでしょう。テロリストの指導者は、テロによって他の人々を死に至らしめると共に、自らの仲間に対しても自爆テロや処刑によって死を与えているのです。

 死を愛する、しかも、他者の死を愛する者とは、快楽殺人者に他なりません。テロリストの本性は、ビンラーディンの言葉にこそ現れているのではないでしょうか。

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