時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

理研と韓国基礎科学研究院との業務提携のリスク

 今月25日、日本国の理化学研究所は、韓国の基礎科学研究院との包括的な業務提携のための協定に調印したそうです。既に懸念の声が上がっておりますが、この提携には、リスクが潜んでいるのではないでしょうか。

 昨年、理研は、中国との間でレーザー技術に関する研究協力の協定を結んだことから、安全保障上のリスクに対する認識の甘さが指摘されておりました。レーザー技術は、軍事転用される可能性が高く、理研をルートとする技術流出は、日本国に対する背信行為になりかねないからです。今回の韓国との協力についても、同様のリスクがあります。”包括的”とされながら、韓国側が特に共同研究の対象として関心を寄せているのは、”加速器関連事業”なそうです。仁科加速器研究センターの名も挙がっておりますが、仁科博士と言えば、戦時中における核開発で知られており、核技術の分野でもあります。先日、日本国の特許公開制度によって、韓国側に核技術が流出したことが判明して問題となりましたが、今回の協力も、核技術であれ、レーザー兵器技術であれ、軍事転用の危険性は否定できません。もう一つ、加速器関連として、理研では、SACLAと呼ばれる施設でX線自由電子レーザーを研究していますが(アメリカに次いで2番目に稼働中…)、こちらも、軍事転用可能な技術です。近年、アメリカの軍事技術も韓国経由で中国に流出してるとも指摘されており、中韓関係の親密化も不安材料です。また、軍事の他にも、X線自由電子レーザーは、精密度の高い構造解析が可能であり、創薬にも利用されることを期待されています。このため、日本国の先端施設での研究成果が韓国に流出し、韓国の医薬品産業に利用されますと、日本国の医薬品産業は、競争上の優位性を持つことができなくなります。新聞報道によりますと、現在、韓国は、医薬品産業を次世代産業と見なし、積極的に育成しておりますので、日本国は、技術流出で競争力を失った半導体や液晶等と同じ轍を踏むことにもなりかねません。

 理化学研究所は運営には、日本国の予算が投じられているにも拘らず、安全保障や産業上のリスクがあるのですから、日本国民の多くは、この協定に納得しないのではないでしょうか。理研と外国機関との無防備な協力については、歯止めをかけるべきではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。