時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

慰安婦問題は仕切り直しを

 明日、岸田外相は、韓国の首都ソウルにおいて日韓外相会談に臨みます。しかしながら、両国の外相による”政治的妥協”が、この種の歴史問題に対する適切な解決方法とは思えません。

 日本国政府に対して、韓国側は、慰安婦問題に対する法的責任を認めるよう迫っているとも報じられております。法的責任を求める韓国側の姿勢には、補償に関する法的根拠を獲得しようとする思惑が透けて見えますが、日本側は、蒸し返しを封じることで対処しようとしているようです。何れにしましても、この問題において、何が狂っているのかと申しまと、やはり、両国政府とも、事実確認の作業さえ蔑にしていることです。河野談話の作成時に収集された資料を見ても、強制連行を裏付ける証拠はなく、事業者による犯罪はあったとしても、むしろ、慰安婦が、当時、雇用契約に基づく合法的な職業であったことを示しています。にも拘らず、河野元官房長官は、韓国との間で政治的作文を作成し、あたかも、強制連行があったとするイメージを国際社会に振りまきました。この問題を蒸し返さないとする取引条件の下で…。韓国側が、この約束を破ったのですから、同時に、この時の政治的作文もご破算となるべきです。つまり、蒸し返された時点で、本来、この問題の仕切り直しをすべきであったのです。幸いにして、韓国は、上述したように法的責任を求めているのですから、これを好機として、日本国側は、司法手続きに解決方法を転換すべきです。日韓請求権協定の第3条が定める仲裁であれ、他の手段であれ、司法手続きともなれば、当然に事実関係が詳細に調査されます。

 司法解決が適切な方法であるとしますと、明日の外相会談は、決裂した方が望ましいこととなります。法の支配を貫くためにも、日本国政府は、間違っても後世に禍根を残すような安易な政治的妥協をしてはならないと思うのです。

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