時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

共産党が危険視される理由-リスクの隠蔽

 北朝鮮による”水爆実験”の強行は、共産党の信頼性をも著しく損ねたと指摘されております。志位共産党書記長は、再三、北朝鮮は脅威ではない、と訴えてきたからです。

 共産党は、表向きは暴力革命路線を放棄し、穏健路線に転換したとされています。防衛や安全保障の分野でも、平和主義の政党を自称しており、昨年は、安保関連法案に対する反対運動の陣営を張ってきました。しかしながら、共産党の平和主義とは、周辺諸国のリスクを否定することで成立する平和主義です。つまり、共産党の安保法制の整備に対する基本姿勢は、”周辺諸国が平和を維持しているのに、日本国がそれを壊すのは許されない”とするスタンスなのです。即ち、日本国=悪玉、周辺諸国=善玉の構図が、共産党の平和主義を支えてきたのです。しかしながら、中国は、南シナ海において実力行使による覇権確立に向けた動きを加速させ、加えて、新年早々、北朝鮮は、”水爆実験”で脅しをかけました。これらの一連の暴挙は、共産党の平和主義の前提と構図を、打ち砕くこととなったのです。

 共産党が危険視される理由とは、その信者に対し、実在するリスクに目を瞑らせる行動にあります。実のところ、リスクを隠す行動ほど、詐術的であり、悲劇的な結果を招くリスクはないのです。共産党は、自らのリスク隠蔽行為が、国家や国民のリスクとなっていることに気が付いているのでしょうか。

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