時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日韓慰安婦合意-日本国は宣伝戦に負けていたのか?

 年末の日韓慰安婦合意については、奇妙な評価があります。それは、国際社会におけるプロパガンダ戦で、日本国は大敗を喫していたところ、当合意が成立したことで、引き分けに持ち込めた、というものです。

 しかしながら、この説明には、納得できない部分があります。何故ならば、真実が明らかとなる時、韓国側が敗者となる運命にあることを忘れているからです。しかも、合意以前の段階において、諸外国において慰安婦像の設置が見送られるケースも相次ぎ、マイケル・ヨン氏のような外国人ジャーナリストからの反論もありました。対日糾弾一辺倒であったアメリカ史学会においても、米人研究家の反論文が掲載され、明らかに風向きが変わってきていたのです。ということは、時間の経過と共に日本国有利となり、形成の逆転も時間の問題であったことになります。待ちで臨む、つまり、時間をかけてでも事実の周知を以って宣伝戦に勝利することが日本国の最も賢明な戦略であったのです。しかしながら、年末の拙速な合意は、この勢いを削いでしまったようにも思えます。勝てる戦を、自ら引き分けにしてしまったとしますと、これは、やはり失敗としか言いようがありません。

 岸田外務大臣の答弁によれば、合意時に海外メディアが発した”性奴隷”の表現や、日本国政府がそれを認めたような報道については、政府として訂正を求めるそうですが、朝日新聞の捏造記事と同様、一旦、誤った情報が流されますと、それを完全に払拭することは簡単なことではありません。当合意に拘わらず、日本国政府には、日本国の汚名を晴らすべく、今後とも、事実発信に努めていただきたいと思うのです。

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