時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

慰安婦問題-朝日新聞社は覚悟を

 先日、日本国政府が、国連女子差別撤廃委員会における慰安婦問題の発生経緯の説明において、朝日新聞社誤報を指摘した点について、当の朝日新聞社側は、根拠がないとして政府を批判しているそうです。

 しかしながら、今後とも、朝日新聞社に対する批判と風当たりは、強くなりこそすれ、弱まることはないのではないかと思います。その理由は、昨年末の日韓合意の影響です。事実を述べる行為は、当合意に反するわけではないものの、日本国政府は、国際社会において相互に批判や非難を控えるとする合意内容を順守するために、間接的な反論方法を選択したと推測されるからです。

 この問題について、直接に韓国の名をあげて批判すれば、合意反故行為として韓国側から”日本が先に合意を破った”とする批判を浴びる恐れがあります(もっとも、当答弁に対しても反発している…)。その一方で、自国メディアである朝日新聞社の責任と誤報の影響に焦点を当てて説明すれば、間接的ながらも、韓国の主張や国際社会の認識に誤りがあることを明らかにすることができます。政府は、韓国政府との間に不毛な非難合戦を繰り広げるよりも、朝日新聞誤報の影響を冷静、かつ、論理的に説明する方が、遥かに、国際社会の理解を得ることができると考えたのではないでしょうか。

 政府の矛先が自国の関係者に向けられているとしますと、事の次第によっては、朝日新聞社は、慰安婦問題の全責任を負わされる可能性さえあります(あるいは、福島瑞穂議員といった慰安婦問題を拡散した政治家や活動家等にも広がる可能性も…)。もっとも、虚偽の主張によって日本国を貶めた韓国側の責任を、日韓合意が、少なくとも日本国側からは問うことができない、という結果をもたらす合意であったとしますと、これもまた、どこか騙されたように感じられ、正義が蔑にされていると思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。