時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

自民党の移民特命委はリスク無視

 自民党は、3月中旬に「労働力の確保に関する特命委員会」を設立し、タブーとされてきた移民問題の議論を開始すると報じられております。委員会の名称が示すように、一先ずは、少子化対策として労働力不足を補うためと位置付けているようですが、国民の大半は反対なのではないでしょうか。

 自民党としては、移民を労働力と位置付けることで、シリア難民等の問題とは一線を画したいようです。少子高齢化が進む中、国民も、労働力ならば、抵抗感も低いのではないかと考えているのかもしれません。しかしながら、移民の政治・社会的な属性を無視した”移民政策”こそ、後々、深刻な社会問題をもたらしてきたことは、偽らざる事実です。アメリカのアフリカ系市民の大多数は、単なる”労働力”として連れてこられたのですから。移民が有する固有の言語、宗教、生活様式、価値観…があることなど、一切、無視されたのです。この側面は、戦後、労働力不足からイスラム系の移民を大量に受け入れてきたヨーロッパ諸国にも見られ、今日のテロや移民問題の下地ともなりました。

 こうした側面を考えますと、”移民は労働力であるから安心”とする説明では、国民が納得するはずもなく、歴史からも、昨今の移民問題からも何も学ばない、リスク無視の暴走としか言いようがありません。それとも、国民には言えない、何らかの外部圧力がかかっているのでしょうか。

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