時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”青年の主張”化する奇妙な高校野球宣誓

 春の高校野球が始まり、テレビ観戦を、毎日の楽しみにしておられる方々も少なくないことと思います。その一方で、昨日は、”サイン盗み”の疑いありとして、球審から注意を受ける出場校のニュースが報じられておりました。

 ”サイン盗み”はルール違反なのですが、この事件に関連して思い当たるのが、開会式での選手宣誓です。今年は、小豆島高校の主将の選手が宣誓の大役を担い、来年に予定されている高校統合を念頭に、小豆島高校野球部の来し方を語っておりました。最近の宣誓文は、こうした”自分語り”の内容が主流なようです。しかしながら、高校野球の開会式に相応しいかと申しますと、いささか疑問に感じずにはいられません。何故ならば、宣誓の決まり文句である”スポーツマンシップに則り、正々堂々と闘うことを誓います”のフレーズがないのです。スポーツでの宣誓とは、本来、ルールの順守を誓うものであって、それ以上でもそれ以下でもありません。公務員や裁判員の就任、あるいは、裁判での証言に際しての宣誓などと、その趣旨は同じなのです。

 こうした作文的な文章が、”青年の主張”であれば問題はないのでしょうが、高校野球の宣誓において、全選手を代表して”自分語り”を披露するのは、場違いに思われるます。ルール違反が頻発している状況を見ますと、やはり、原点に返って、開会式では、ルールの順守を宣誓すべきなのではないでしょうか。

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