時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

『パナマ文書』-ソフトバンクへの風当たりが強い理由

 昨日公表された『パナマ文書』には、案の定、日本国の企業や個人名も多数記載されておりました。タックスヘイブンの利用は必ずしも違法ではないものの、企業の租税回避行動が対策を講じるべき課題であることは明らかです。

 リストに名前の挙がった企業も、マスコミの取材等への対応に追われたようです。例えば、ソフトバンクは、「中国IT企業の要請で事業参加したが、すでに撤退している」と説明しています。この説明の真偽については今後の調査等を待たなければなりませんが、とりわけソフトバンクが注目されたのは、同社が、日本国のインフラに依存してるからに他なりません。同社は、日本国の電波法の下で、総務省の事業許可と周波数の割り当てを受けて幅広く事業を展開しており、今や、寡占3社の一角を占めています。エネルギー事業に至っては、再生エネ法の成立を背後から後押したことに加えて、自らも参入することにより、電力会社に固定価格での買い取りを義務付ける制度を利用して利益を上げています。一般の国民が、再生エネによる電力料金の値上がり分を負担する一方で、ソフトバンクこそ、国の”強制買取制度”の恩恵を最も受けた企業の一つなのです。

 日本国と日本国民に自らの事業を依存しながら、自らは節税に励んでいたとなりますと、当然に、国民からの風当たりは強くなります。ソフトバンクの納税額につきましては、僅か500万円から3500億円まで様々な説があり、不明な点も多く、あるいは、釈明通りに既にパナマペーパーカンパニーは存在していないのかもしれません。しかしながら、同社は、日本国依存型の企業なのですから、『パナマ文書』に名が記載されている以上、国民に対して納得のゆく説明をすべきではないかと思うのです。

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